レンズと光学原理の知識 - 産業光学器組合略称オプタス)

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光学レンズの知識
レンズの材質 一般にアクリルを使用した樹脂レンズと光学ガラスレンズに大別できます。光学ガラスは珪石、酸化ランタン、硼酸など5-6種類以上の材料を調合し、約1200-1400度で溶解して製造します。蛍石などの自然結晶も使用されます。
光学ガラス
の種類
光学ガラスは屈折率とアッベ数(分散の逆数値)などの光学特性により200種類以上に分類され各々に記番が付されます。アッベ数の高い低分散硝材はクラウン(K)ガラス、逆に数値の低い高分散硝材をフリント(F)と呼び、BK7, Bak4, F2, SF8などのように表記され、用途に応じて使用されます。
光学レンズの
工程(硝子)
高度な金型技術と低融点光学硝子の開発によるモールド製法の進歩で光学レンズの製造工程も簡素化されています。 予めガラス工場でプレスされたレンズ原型(プリフォーム)を順に加工します。
◇荒摺り−◇研磨−◇芯とり−◇増透膜コーティング
光学レンズ
の種類
下図はルーペなどに用いる光学レンズの単体形状(単レンズ)を概略的に示したものです。 球面レンズの曲線は円(球)の一部、非球面レンズは曲面を連続的に変化させたもので、その延長線は円(球)を形成しません。
複合レンズ 光は波長によって屈折率が異なるためレンズの光軸上の一点に結像(焦点を結ぶ) せず、色のにじみが生じ不鮮明な観察像となります。そこでダブレット・トリプレットのように光学特性の違う硝材の凹凸レンズを貼り合せて収差を補正し結像性能を向上させます。(アクロマート・色消しなどと呼ばれています。)
倍 率 ディオプター(D)と倍率(X)の2種類の表示がありますが 4D=1X という換算です。ところが実際の表示では、低倍率のレンズについては4Dのレンズは 4÷4 +1 =2 と、1倍加算して2倍(2X)とします。ただし高倍率の場合は +1の加算をしません。(別の機会にこの説明をします。) 光学レンズの倍率はその焦点距離で計算できます。100cmを1として焦点距離が25cmのレンズの場合は100÷25=4(4ディオプター)、4÷4+1=2X (2倍)となります。焦点距離4cmの場合は100÷4=25 (25ディオプター)、25÷4=6.25 (約6倍)。
コーティング 保護膜(ハードコート)、増透膜(反射防止膜)などがあります。1枚で2面を持つ単レンズを光が通過 (入射・出射)するとき、各面で約4%ずつの光量を反射により失います。多くの光学レンズを使用する複雑な光学系では何十パーセントもの光量を損失することになり像が暗く不鮮明となります。 そこで弗化マグネシウムなどの薄膜を真空蒸着して光の反射を防止し透光率を高めます。マルチコートはこれを十数度も多層処理したものです。
光とは 光は電波やX線などと同じ電磁波の一部です。電磁波はその波長が百キロ以上の長いものから1ミクロンよりはるかに短い極小のものまであります。可視光線と呼ばれる人間の眼に感じる(見える)波長はその中のわずかな域帯です。(波長についてはスペクトルの説明を参照。)
―――電波―――赤外線―可視光線―紫外線――X線――
(長波/中波/短波/マイクロ波)      (赤)―(紫)           (放射線)XXX
屈折率 光がある媒質から(光学)性質のことなる媒質に入射するとき境界面でその進路が曲がること。1気圧20度Cの大気を約1とすると光学ガラスの屈折率は約1.50 -1.80、この屈折率が高いほど高倍率と言えます。ダイヤモンドは 2.40、水は 1.33で温度によっても異なります。
スペクトル プリズムに入射した光(白色光)が出射して波長順に赤から紫まで帯状に分色されます。これをスペクトルと呼びます。可視光線の限界波長域は360ナノメーター(紫)から830ナノメーター(赤)で、波長により屈折率が異なることを示しています。
光の3原色 私たちが見ている自然の光(太陽光)を白色光といい、分散スペクトルで7色の帯が観察されます。赤(約700ナノ)、緑(約540ナノ)、青(約430ナノ)の3色を平均に混合するとこの白色光が得られ、またその混合比の変化ですべての色光が得られます。これを光の3原色といいます。
収 差 レンズを通過した光が1点に集光しない、像が歪む、周辺部がボケる(平面が平面に結像しない)、色が変わる、像が不鮮明などを光学理論で「収差」と呼びます。「球面収差」「湾曲収差」「歪曲収差」「非点収差」「コマ収差」「色収差」その他があり、これを補正するために最新の光学技術が駆使されています。非球面レンズは「球面収差」「コマ収差」を減少させ集光用途に高性能を発揮します。その一方「湾曲収差」や「色収差」が補正されないため像の歪みや不鮮明さが残り観察用途にはなお問題点が残るとの意見があります。
アクロマート
レンズ
光学特性(屈折率と分散率)の異なる硝種の凹凸レンズを貼り合わせて赤と青を色消しした収差補正レンズ。前項で説明した波長による結像(焦点)位置のずれを補正するためのレンズでクラウン材凸型とフリント材凹型から成る。
アポクロマート
レンズ
上記アクロマートレンズは2色を色消しし鮮明像を得ますが、なお充分ではありません。低分散性ガラスなどを用いて3波長を色消しし、より残存色収差を小さくした複合レンズを言います。
EDレンズ 高屈折率・高アッベ数(低分散)の硝材を使用した光学系の総称で色のにじみが少なく極めて鮮明な結像を得ます。カメラの望遠レンズや高級双眼鏡などに使用されています。
焦点深度
被写界深度
被観察物が鮮明に見える光軸方向の距離範囲。設定されたピント(焦点)距離の前後で像(写真画像)が鮮明に観察(写し込める)距離範囲。深度が深い(範囲が広い)ほど観察物に高低差があっても(凹部凸部のどちらも)鮮明に観察(撮影)できる、またはピント設定されている被検(写)体の前後距離でも鮮明に観察(写し込み)できる。一般に倍率が低いほど深度が深く、高倍率ほど浅くなるため慎重なピント調整が必要です。
ズーム レンズ光学系の一部を光軸上で前後に移動させて、ピントがずれることなく像を連続的に拡大または縮小させるシステム・光学機能を言います。
光学ルーペ
の選び方
用途により適切な倍率を選ぶことが大切です。使用中のルーペが見ずらい、よく見えないなどの場合、より高い倍率に替えてしまう傾向がありますが、より低倍率を試してから新しいものを買うようにしたいものです。読字や作業用には1.8-3.0倍。写真ネガ用は3.0-8.0倍、宝石鑑定・マイクロ電子部品は10- 12倍、印刷色分解・金属表面・ダニ・花粉などは20倍以上。不必要な高倍率使用は、暗い・歪む・視野が狭い・不鮮明などの無理な観察となり、作業功率を低下させたり目や身体の疲労の原因となります。一般に読字や作業用の低倍率レンズには大きな収差はないものです。ブランドやオーバーな光学原理・機能・構造の説明を必要以上に重視しないで、透明度がよい、中心から周辺部まで全面にピントが合っている、歪みがないなどを確認して選ぶのがよいでしょう。精密観察・光学検査に用いる高倍率ルーペには収差がつきものです。いま人気の非球面レンズにも湾曲収差や色収差があることを認識しなければなりません。専門的な光学知識がある場合を除いて、光学レンズの特性や構成など光学原理の難しい説明を理解することはできないのですから、
   ◇歪む(湾曲・歪曲収差)
   ◇周辺部・中心部どちらかがぼける(球面収差)
   ◇周辺部の点が尾をひいてのびる(コマ収差)
   ◇色があせたようで像が不鮮明である(色収差)
などを避けて、なるべく口径の大きい増透膜コーティングのあるものを選ぶことがコツでしょう。樹脂レンズは保護コーティング処理品でも露出部にキズがつきやすく透光性の劣化を考慮しなければなりません。


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